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番外編 譲治さんに焼きもちを妬かないで欲しいのに

タオルでぐるぐると巻かれ譲治さんは青空さんに肩に担がれ、あっという間にどこかに連れていかれてしまった。 「ここで何をしてる?」 入れ違いにまだ何も知らない彼が姿を現した。 「もしかして転んだのか?腰は?背中は?手は?痛くないか?大丈夫か?どこも怪我はしていないか?柚原、ハチ、未知に何があったんだ。さっさと教えろ!」 血相を変えて駆け寄ると、お尻のしたに手を入れ、そのまま抱き上げてくれた。 「黙ってないで答えろ!」 「暴れないと約束してくれるなら正直に言ってもいいが、無理だろう」 「オヤジは姐さんのことになると人が変わるからな。血の雨が降る。姐さんが無事だったんだ。それでいいだろう」 柚原さんと蜂谷さんは譲治さんを庇ってくれた。 「新入りには優しくしろってだろう。今回は見逃してやるが、次は許さん。そう伝えておけ」 彼は何があったか薄々勘づいていた。 「遥琉さん、あのね」 「譲治の妹はまだ二十三歳だった。若いのにな。やりたいことがたくさんあっただろうに。俺も悔しいよ。背中は大丈夫か?痛くないか?」 「僕そんなに柔じゃないよ」 彼の服にぎゅっとしがみつき笑顔で返すと、 「そうだった」 やっと彼が笑ってくれた。

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