｢チカ、帰るぞ」 ｢えぇ～～もう帰るの？」 ｢当たり前だ。明日早いんだ」 秦さんがしばらくの間福島に留まることになり、代わりに壱東さんが娘さんを迎えに上京することになった。 違法ドラック入りダイエットサプリメントを中国から輸入し、販売していた会社にようやく捜査のメスが入ることになった。 ｢お茶会は別のチームが捜査にあたっている。卯月、世話になった。また来るな」 ｢いつでもこい。ここはチカの実家みたいなものだからな。歓迎する」 ｢子どもたちに遊んでもらいすっかり元気になった。礼を言う。なんせ安月給だからな。そんなに小遣いはやれないが」 国井さんが太惺と心望を手招きすると、にこにこしながらあんよしてきた。 ｢しまっとけ。それでチカに旨いものでも食わせてやれ」 ｢いいんだ。次いつ来れるか分からないからな。お盆休みに子どもたちに会えないかもしれないだろう」 二人はポチ袋を受けとると、 ｢あんと」と言いながらぺこっと頭を下げた。 ｢かじるなよ。にいにとねえねに渡すんだぞ」 笑顔で二人の頭を撫でると、チカちゃんと壱東さんを連れて急いで駅に向かった。