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番外編 悪運の強い男

「ちょいと野暮用があるから組事務所に行ってくる。先に寝てていいぞ」 太惺と心望を寝かし付けると、急いで着替えを済ませ防弾チョッキを着用し上着を颯爽と羽織った。 「陽葵も早くねんねして、ママを休ませてやれ」 僕の腕のなかで目を擦りながらぐする陽葵の顔を笑顔で覗き込むと、大きな手で頭を撫で撫でしてくれた。 「どうしても泣き止まないときは柚原を呼べ。隣の部屋で聞き耳を立てているんだ。すぐに駆け付けてくれる」 「うん、分かった。あのね遥琉さん、槙島さん見付かったの?」 彼の表情が一瞬険しくなった。 「やっぱりいい。ごめんなさい、変なことを聞いて」 「未知に隠し事をしたくないから正直に言う。槙島は頭を撃たれてドクターヘリで県立医科大学附属病院に緊急搬送された。意識不明の重体だ。撃った男は自殺を図ろうとしたが、渋川らに取り押さえられた」 「須釜さんは?」 「無事だ」 「良かったって言っちゃいけないよね?」 「槙島が撃たれたのは自業自得だ。いままでの行いが災いを招き寄せたんだ。気にすんな」 彼が頭をぽんぽんと撫でてくれた。

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