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番外編 キスの催促
「オヤジよりずっと骨太で頑丈な指なのに、どうしてこんなにも柔らかくて大きな掌をしているんですか?それにぽかぽかしてすごく温かい。何で?」
「この手は人を殴ったりして傷付ける為にあるんじゃない。愛する妻と子どもたち。大切な仲間や舎弟たちを守るためにある。俺はそう思っている」
「やっぱり卯月さんは違う」
「なんだ譲治、今頃気付いたのか。オヤジは石川や上田とは違う。オヤジの懐の深さと、器の大きさは誰にも真似できない。去る者は追わず来る者は拒まずだ。譲治には少し難しいな」
「焼きもち妬きとお節介なところがたまにきずですけどね」
橘さんがお弁当袋を持ってきた。
「壱東さんと一緒に食べと言っていうことを聞かなかったんです。お腹が空いているはずです。これを食べさせて下さい」
「ありがとう橘」
「いいえ」
譲治さんのお腹からぐぐぐ~~と派手な音が聞こえてきた。
「体は正直だな」
「そうですね」
クスクスと笑う彼と橘さんを譲治さんは興味津々。穴が開くくらいじーと見つめていた。
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