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番外編 キスの催促
「しょせん自分はよそ者。邪魔者扱いされ、冷飯を食わされ、使い捨ての駒にされる。そう思っていたそうです」
「でも、実際は違っていた」
「えぇ。聞いていた話しとまったく違うので、戸惑ってばかりで頭が追い付いていかないそうです。鍋山さんもなんだかんだ言いながらも面倒をみて可愛がってくれますし。遥琉と未知さんは時と場所を選ばず、人目をはばかることなく朝から晩までラブラブで、夫婦仲の良さにかなり驚いたそうです」
「遥琉さんと僕よりも、橘さんたちや、紗智さんたちのほうがラブラブです。僕も遥琉さんとそんな夫婦になりたいなってそう思っています。譲治さんは、四六時中喧嘩ばかりして、目も合わせず、ろくすっぽ会話もしない。そんなふうに思っていたのかな?」
「多分そうだと思いますよ」
バスタオルで陽葵をくるんだ柚原さんがお風呂場から出てきた。
「汗びっしょりだからぬるま湯を浴びさせた。よほど気持ちが良かったみたいだ。ほら」
そっと覗き込むと、お手手をグーに握り締め、すやすやと眠っていた。さすが柚原さんだ。あっという間に陽葵を寝かし付けてしまった。
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