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番外編 朝からドキドキの連続
彼は上機嫌に頬から顎、そして喉へと指を滑らせていく。
「遥琉さん、くすぐったいから止めて」
「くすぐっていないだろう」
と言いながらも所構わずくすぐられた。
すぐ隣では陽葵がお手手をグーに握り、バンザイして鼻からすぴーすぴーと音を立てて眠っている。どこにも逃げられず、身を捩りながら足をばたつかせると、
「暴れるな。陽葵が起きるだろう」
押さえ込まれ、上から伸し掛かられる。
彼を見上げると、僕の顔を間近から見つめていた。
その瞳はいつも冷静で落ち着いていて、普段見せてくれるパパの顔とはまるで別人だった。熱く情熱的な何かを孕んでいて、胸をかき乱される。引き寄せられる。僕の身体の中で、鼓動だけがますます大きく速くなっていった。
「優璃、寝ている場合じゃないぞ」
隣から興奮した柚原さんの声が聞こえてきた。
「寝ててもらったほうが静かでいいんだがな」
彼が苦笑いを浮かべながら、
「どうする?止める?それとも続ける?」
ひんやりとした手の甲で背を撫でられ、身体がぴくっと震えた。
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