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番外編 愛しているからこそ疑心暗鬼にもなる

「ハチ、あ~~んして。とか、ハチ、俺にも食わせろ。とか、どーせいつものようにイチャイチャしてるよ」 「昨日も今日も、朝から晩まで見つめあって、微笑みあって。りっきとした不倫だよ」 「不倫ですか。なかなか面白いことを言いますね」 ぷぷっと橘さんが吹き出した。 「ねぇ、ねぇ、橘。尊とタマ、どっちが先に釈放されると思う?」 「そうですね。もしかしたら二人一緒かも知れませよ」 「だからか。バーバが何も四人で一緒に暮らせばいいだろうって言ってたのは。同じ屋根の下で同じ釜の飯を食い、仲良く暮らすのも悪くないだろうって」 「俺なら複雑だな~~」 紗智さんが畳んでいたバスタオルをぎゅっと両手で抱き締めた。 「なんでなんで?」 那和さんが身を乗り出した。 「だってさぁ、自分だけ知らないだよ。青空さんと蜂谷さんがイチャイチャしてるの。尊さんも玉井さんもいい気しないよ。二人は兄弟のように仲がいいだけ。頭では分かっていても、絶対に焼きもちを妬いたり、本当に何もないのかって疑ったりする」 「愛しているからこそ疑心暗鬼にもなります。蜂谷さんにそれとなく話してみますね」 「うん、お願い」 紗智さんにようやく笑顔が戻った。

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