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番外編 天知る地知る我知る人知る 悪事千里を走る

「これ。落ちていた。あれ?どこしまったっけ」 ポケットを探しても出てこなくて。突然服を脱ぎ出したから慌てて顔を両手で隠した。 「こら、譲治!何やってんだ。橘さんの雷が落ちるから止めろ!」 指と指の隙間からそっと見ると、上半身裸になり、靴を脱ぎ、逆さまにして何かをしていた。 「橘、あったよ」 「いいか、譲治。年上と目上の人は呼び捨てにしては駄目だ。それにため口もだ。それが常識だって何回言ったら分かる。あれほど口酸っぱくして言ってるのに。すみせん橘さん。よく言って聞かせますので見逃してください」 鍋山さんがペコペコと何度も頭を下げた。 「見逃すもなにも、いちいち腹を立てて怒ってもしょうがないですよ。譲治さん、探し物は見付かりましたか?」 「うん、見付かった。これだよ、橘」 どうやら靴が二重底になっているみたいだった。 「サツに見付かってヤバイのを隠すのに重宝するからって兄貴からこれを履くように言われた。卯月さんのところに来たらなにも隠すのがなくて。だから、拾ったこれを入れたんだ」 「そうだったんですね」 よく見ると譲治さんの手のひらにminiSDカードがあった。

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