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番外編 天知る地知る我知る人知る 悪事千里を走る

「譲治さん、どこでそれを拾ったか覚えていますか?」 「えっと~~忘れた。なぁ、橘。未知さんは熱があるのか?顔が真っ赤だぞ」 「やはり聞くだけ無駄でしたね。さぁ~~誰のせいでしょうね」 目のやり場に困るとはまさにこのことだ。紗智さんも那和さんもなるべく見ないように伏し目がちになっていた。 「譲治、それを橘さんに渡して、早く服を着ろ」 鍋山さんが服を拾い上げ譲治さんに渡した。 「……車かな?いや、違うな。橘、思い出すから時間をくれ」 「時間はたっぷりあります。ゆっくり思い出して下さい」 譲治さんからminiSDを受け取った橘さん。微笑んではいたけど、目はかなり怒っていた。 「姐さん、イチが帰ってきました」 若い衆が教えに来てくれた。 「帰ってきた」 「良かったですね」 「うん。良かった」 ニコニコの笑顔になると急いでTシャツを着た。 「譲治さん、前後ろが逆です。それにけいちゃです」 「けいちゃ?」 譲治さんがきょとんとしていた。 「裏返しとかの意味だけど、普通に使わないですか?」 首を横に振られた。 「マーね、たまに福島の方言がでるの」 紗智さんに言われ、 「あっ、そっか。なるほど」 譲治さんがようやく理解してくれた。

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