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番外編 未知さんにはちゃんとみてほしい

譲治さんがいそいそと服を脱ぎはじめた。 「ちょっと待って」 恥ずかしくて。後ろを向こうとしたら、手首をがしっと掴まれた。譲治さんは自分の胸元に僕の手を持っていった。 「未知さんにはちゃんと見てほしい」 「だから、その、遥琉さん以外の男の人の裸はNGなんです」 目を閉じぶんぶんと顔を横に振った。そのとき指先が何かに触れた。そんなには大きくない。丸みがあって、固いものだった。 胸に……指輪?首を傾げながら、おそるおそる目を開けてちらっと見ると、胸の小さな突起の先に髑髏の形をした指輪がついていた。それだけじゃない。臍にも同じものがついていた。 「これ誰の趣味?」 那和さんが興味津々覗き込んだ。 「兄貴も同じのしてる。痛いから嫌だって言ったけど……」 「無理矢理されたんだ」 譲治さんが頷いた。 「忠誠心がない。裏切り者と罵られ、ぼこぼこにされた。だから従うしかなかった」 「あけたばっか?」 「二十日くらい前かな?ここに来る直前。服を脱ぐたび擦れて痛いから絆創膏を貼っている」 「覃は知ってるの?」 紗智さんの問い掛けに、譲治さんはぶんぶんと首を横に振った。 「化膿していますね」 譲治さんの胸元を何気に見ていた橘さんがぼそっと呟いた。 「鍋山さん、譲治さんを至急病院に連れていきましょう」 「病院?」 「乳首は耳と違い、とてもデリケートな部分です。普通は美容整形外科を受診して穴を開けるんです」 「なるほど。自分等でろくに消毒もせず乳首に穴を開けたからばい菌が入り、化膿したのか」 鍋山さんが納得して大きく頷いていた。

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