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番外編 いちさん、なかないで

「卯月はエキゾチックな美人がタイプなのか?」 「は?」 「そう睨むな。熱い眼差しで見てるからそう思っただけだ」 「覃、そんなに半殺しにされたいのか?」 「いや、まだ、されたくないな」 「なら黙ってろ。お口チャックだ」 「お~~こわ。てっきり図星かと思ったぞ」 「あ?喧嘩を売ってるとか思えないな。もういっぺん言ってみろ」 戦闘態勢に入るかのように、肩や首を回し、指の関節をぽきぽき鳴らす彼。 まさに一触即発。万事休す。と思ったら、 「けんかはだめっ」 遥香が二人の間に入った。 「のんのさまのまえだよ。たんさん、おててをこうして。ちゃんとなむなむしなきゃだめっ。たってなむなむしない」 それは遥香や子どもたちがいつも彼に言われている言葉だった。正座して、背筋をぴんと伸ばし、手を合わせてのんのさまに拝むんだよ。遥香が実際にやってみて覃さんに教えると、 「へぇ~~なかなか奥深いな」 覃さんは言われた通り素直に正座すると、見よう見まねで手を合わせた。 「遥香ちゃんは物怖じせず、肝が座ってる。たいしたもんだ」 「俺と未知の自慢の娘だからな」 彼がゆっくり微笑んだ。

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