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番外編 覃さん、柚原さんを怒らせる
「いい気になるなよ」
いつの間にか覃さんの背後に蜂谷さんが立っていたからびっくりした。覃さんはもっと驚いたと思う。普段は一瞬の隙さえ見せない覃さんだけど、不意打ちをくらい動揺していた。
蜂谷さんが覃さんの手を掴み、親指を下にして、手を外側にひねった。
「あてて、なにしやがる」
あまりの痛さに立っていられず、悶絶しながら畳の上に倒れこむ覃さん。
蜂谷さんは目にも止まらぬ早さで覃さんを押さえ込んだ。
「姐さんに触れていいのはオヤジだけだ。手錠をかけて、一晩中柱に縛りつててやろうか?そのくらいしないと反省しないだろう」
白目も見えるほどに目を見開き、覃さんを睨み付けた。
「さすがは元刑事だけある。未知の弾よけでは物足りないんじゃないか?」
「お前に心配されなくても姐さんの弾よけとして毎日がとても充実している。これほどやりがいのある仕事はない」
きっぱり断言する蜂谷さん。
柚原さんがしゃがみこみ、しゃもじを覃さんの首に突き付けた。
「次はないと思え」
ドスのきいた低い声で脅した。
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