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番外編 子どもたちの優しさ
運動会のときインフルエンザで欠席した二年生が多かったことから、授業参観は二年生全員で体育館でミニ運動会を行うことになったみたい。一年生は算数だ。
「パパは学級委員だから駐車場の整理だ。終わったら行くからな。待ってろ」
「うん、わかった」
一太が笑顔で大きく頷いた。
「じゃあ、そろそろ寝ようか?」
彼が一太と奏音くんを寝室に連れて行って行ってくれた。
「姐さん、優璃と譲治が帰ってきました」
隣の部屋から柚原さんに声を掛けられ時計を見るとちょうど九時を回ったところだった。
「なかなか帰って来ないから何かあったんじゃないかって心配で。良かった無事で」
心臓の位置に手のひらを押し付け、大きく息を吐き出した。
「夕ごはんまだですよね?何か、食べさせてあげないと。橘さんの手伝いをしてきます。柚原さん、子どもたちのことお願いしてもいいですか?」
「もちろんだ。譲治も俺の顔を見るより、姐さんの顔を見たほうが安心する」
子どもたちの布団を掛け直した。すぐに蹴飛ばすからあまり意味ないんだけど。
いい子にしててね
子どもたちの寝顔を見ながら頭を撫でて、そっと寝室から抜け出した。
明かりのついた台所を覗くと割烹着姿の橘さんが夕ごはんのおかずを温め直していた。
「橘さん、お帰りなさい。何か、手伝うことありますか?」
「ありがとう未知さん。手は足りてます」
「ままたん、次なにはこぶ」
彼と一緒に寝室に向かったはずの一太と奏音くんが手伝っていたから驚いた。
「じょうじさんがしんぱいでねれなかったんだ」
「かえってきて、よかった」
「これをはこんだらちゃんとねるね」
一太と奏音くんがご飯とみそ汁をお盆の上に乗せると、こぼさないようにゆっくりと客間に向かった。
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