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番外編 彼が感じた嫌な予感

「な~~んか、嫌な予感がするんだよな。のぞみもそう思うだろう」 火曜日の朝、のぞみさんの遺影の前に子どもたちと座り、静かに手を合わせていた彼がぼそっと呟いた。 「どうしたのパパ?」 「内緒にしてても、どーいう訳か千里に筒抜けなんだ。だから、障子と壁に大きな耳が付いているんじゃないかって、パパ最近そう思うようになったんだ」 チラッと横目で奏音くんを見る彼。 橘さんから光希さん宛で荷物を送ると聞いて、ごはんそっちのけで急いで手紙を書いていた。 龍成は親バカだから間違いなく来る。授業参観だろうが持久力大会だろうがなわとび大会だろうがヤツには関係ない。彼が寝るときにそんなことを言っていた。 「かなたくん、おわった?」 「うん、かけたよ」 「ままたん、つぎははやくおしえてね」 「はい。分かりました。さっき、玄関前に石井さんが山のような野菜を置いていってくれたので、光希さんにお裾分けしようと思ったんです。以後気を付けますね」 橘さんが奏音くんにアルミホイルで包んだおにぎりを渡した。 「ありがとうままたん。たべながら行く」 「よし、そろそろ出掛けるか」 いつものように彼が一太と奏音くんを小学校へと送っていってくれた。 それから三十分後。 陽葵におっぱいをあげていたら、がらっと勢いよく襖が開いて。慌てて胸元を隠した。

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