2476 / 3579

番外編 橘さんの塩対応に龍成さん出鼻をくじかれる

「未知、誰と話しをしていたんだ?」 すっと襖が開いて彼が顔を出した。怪訝そうに眉をひそめていた。 「陽葵だよ」 「本当にそうか?」 「う、うん」 顔がひきつっていたけど、笑顔で返した。 「俺の耳が悪いのか?」 「どうして?」 「あれは間違いなく龍と七海の声だ」 彼は地獄耳だ。勘だって鋭い。 これ以上は誤魔化せない。 正直にごめんなさいを言おうとしたら、 「パパ、ママをめっしないで」 幼稚園に行ったはずの遥香と幸ちゃんが手を繋いで戻ってきたからびっくりした。 「忘れ物?」 「ううん」 首を横に振った。 「園バスが動かなくなったみたいだ。だから、これから幼稚園と保育所に送っていく。遥香に、ママにどうしてもバイバイがしたいって言われて、ほら、二人とも行ってきます、するんだろう?」 「ママ、ひまちゃん、いってきます」 「みちしゃん、ひまちゃん、きますー」 遥香と幸ちゃんがぶんぶんと手を振ると、彼と一緒に玄関に向かった。 良かった。バレなかった。 ほっとし、安心したのもつかの間。 「そういうば未知」 彼がなぜかすぐ戻ってきたから心臓が止まるくらい驚いた。

ともだちにシェアしよう!