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番外編 塩対応の橘さんに、龍成さん出鼻をくじかれる
太惺と心望が開いた狭い隙間から中に入ってきた。
「二人とも、陽葵が寝ているんだ。走り回るなよ。なるべく静かにな。それとママも疲れているからなるべく休ませてやれよ」
心望がふと立ち止まった。
視線の先にいるのは毛布を頭から被り隠れている七海さんだ。
匂いで七海さんがいるってすぐに分かったのかな?
キャキャと歓声をあげながら、勢いよく飛び込んだ。
太惺もあとに続いて飛び込もうとしたけど、布団からはみ出していた龍成さんの足に引っ掛かり、前に転んで、畳に顔をぶつけ、ギャンギャンと大きな声で泣き出した。
太惺を抱き上げようとしたら、
「たいくん大丈夫だよ」
七海さんが布団を放り投げ、すぐに駆け寄り抱き起こした。
「痛い、痛いの飛んでけーー」
おでこを撫でながら、体をゆらゆらと左右に優しく揺すりあやしてくれた。
「ここちゃん、えらいね。すぐ分かったんだ。おいでーー」
二人いっぺんに抱き上げてくれた。
でも、彼とすぐに目が合い、
「あっ………えっと……」
エヘヘと笑って誤魔化した。
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