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番外編 子どもは神様からの授かりもの

「兄貴、もう行くのか?」 「今回、一年生の学級委員が駐車場の誘導係になっているんだ」 「ちょっと待ってくれ。俺も一緒に行く」 龍成さんがおにぎりを口いっぱいに頬張りながら、上着を肩に担ぎ、彼のあとを慌てて追いかけていった 「雑巾がけをしたばかりで廊下が濡れているから、滑りやすくなっている。転ぶから走るな。待っているからゆっくり来い」 立ち止まり、龍成さんが追い付くまで彼は待っていてくれた。 「龍成のお尻に尻尾が見えるんだけど、僕だけかな?」 「ぶんぶんと嬉しそうに振っているの、俺も見えるから大丈夫」 「昔から龍成さんは、遥琉を実の兄のように慕い、いつもくっついて歩いていました。遼成さんより遥琉のほうが気軽に話し掛けられるし、遼成さんよりも優しいし、遼成さんよりも面倒をみてくれるから、龍成さんは昔も今も遥琉が大好きなんですよ」 「バーバばっか褒めたら、遼成さん拗ねない?」 「遼成さんは、昔も今も、弟より光希さんしか眼中にありません」 「それ、当たっているかも」 紗智さんと那和さんは二度、三度、大きく頷いた。

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