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番外編 行ってくるのキス
「龍成、ちょっと待っててくれ」
忘れ物でもしたのかな?彼が戻ってきた。
「橘、他の保護者をびびらせる訳にはいかないから、未知の護衛はなるべく少人数で頼む。それと未知、二週間前に小学校の前にこじんまりとしたカフェがオープンしたんだ。青空のことだ。間違いなく行きたいと言い出す。これで青空に何か食わせてやれ」
ぽんと1万円札を渡された。
「こんなにいっぱいはいらない」
「足りないよりいい。ふわっふわのシフォンケーキが美味しいみたいだよ。ワンホールじゃ足りないだろう。未知も気を付けて来るんだぞ。時間に遅れそうになっても急がず慌てずに来い。もし転んで、また手を怪我でもしたら元の木阿弥だろう」
「うん。分かった。遥琉さんこそ気を付けて。行ってらっしゃい」
「おぅ、ありがとう未知」
彼の顔が近付いてきて。
おでこの髪を指で左右にわけると、ちゅっと軽くキスをしてくれた。
「は、遥琉さん」
みんなが見ているのに。真っ赤になり俯くと、
「もしかして唇のほうが良かったか?帰ったら、唇にいっぱいキスをしてやる。じゃ、行ってくる」
愉しげに笑いながら、龍成さんのところに向かった。
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