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番外編 本日も菱沼組は平和なり
「本日も菱沼組は平和なり、だね。未知」
「七海さんまで……」
恥ずかしくて身の置き場に困った。
「なるべく護衛は少人数で、と言われてもな」
「それなら、俺が未知の格好をして、影武者になる」
「何度も同じ手は通用しない」
「そうか、難しいな」
眉間に皺を寄せ、小難しい表情で膝を付き合わせて話し合う蜂谷さんと青空さん。
「あ、あの~~」
近寄りがたいオーラをかもし出す二人に、びくびくしながら声を掛けたのは森崎さんだった。
「三食昼寝付きで居候させてもらっているんだ。俺も護衛に混ぜてくれ。決して、二人の邪魔はしない」
「森崎がいれば鬼に金棒だ。な、青空」
蜂谷さんが青空さんの顔を見ると、頬っぺたを膨らませ、仏頂面をしていた。
「たいくんみたくあっぷぷしない」
「ふん」
青空さんはぷいっとそっぽを向いてしまった。
「あらあらまた痴話喧嘩。本当に仲がいいわね」
口に手をあて、オホホと上品に笑いながら紫さんが姿を現した。
「大姐さん、どうしたんですか?」
「度会が、念のためこれを持っていけって」
驚く蜂谷さんに、紫さんが渡したのは防弾チョッキだった。
「仕込み刀もそれぞれ持って行きなさい。何があっても姐さんを守るのよ。傷ひとり付けたら許しませんよ」
「は、はい!」
紫さんに気合いを入れられ、蜂谷さんと森崎さんの表情が自然と引き締まった。
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