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番外編 若井さんという刑事

ちらっと時計を見ると、十三時を過ぎていた。 奏音くんとめぐみちゃんと優輝くん。まさか龍成さんが授業参観に来るとは思っていなくて、今ごろきっと腰を抜かすくらい驚いているはず。 僕はというとまだ小学校に着いていなかった。 あともう少し、というところで、前と後ろをパトカーに挟まれ、目の前にあったお寺の駐車場に誘導させられた。 壱東さんは法定速度をしっかり守り、スピード違反は絶対にしていない。信号機のない横断歩道では、白線の前できちんと停まり、歩行者を渡らせていた。違反はしていない。 事故処理車も駆けつけ、物々しい雰囲気が漂っていた。 車のドアを全部開け、警察官が三人がかりでなかを確認していた。 青空さんは腕を前で組み、鋭い目付きで警察官の一挙一動を監視していた。森崎さんはその様子と、警察官の顔をスマホのカメラで撮影していた。 撮影を止めろと、何度も注意されたけど、森崎さんはそれに応じなかった。好きにしろ、最後は警察官のほうが諦めたようだった。 蜂谷さんと壱東さんが険しい表情で職務質問に応じていた。 そんなときだった。 ♪♪ゆき ゆき ゆき ゆきうさぎ~~みんなのスーパー ゆきうさぎ♪♪ 軽快な音楽を流しながら、ゆきうさぎ丸がやって来て、駐車場に入ってきた。

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