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番外編 若井さんという刑事
「何やってだ」
運転手席からヤスさんが顔を出した。
「ヤス、ちょうどいいところに来てくれた。姐さんを小学校まで送っていってくれないか?」
「お安いご用だ」
助手席から佐治さんが下りてきた。
「姐さん、どうぞ」
「ありがとう佐治さん」
背中に刺さる冷たい視線を感じながら助手席に乗り込むと、俺は姐さんの弾よけだ。離れる訳にはいかないと、青空さんも乗り込んできた。
「じろじろ見るな。見せ物じゃないぞ」
佐治さんが警察官たちを睨み付けた。
「姐さん、行きましょう」
「ヤスさん、みんな大丈夫かな?」
「あそこにいるデカはみんな蜂谷の元同僚だ。デカを辞めて、ヤクザになった蜂谷のことをみんな快く思っていない。姐さん、着きましたよ」
五分もかからず小学校に着いた。
「ヤスさん、送ってくれてありがとう。青空さん、下りないの?」
青空さんは不安そうに空をじっと見ていた。
「ヘリコプター」
「ヘリコプター?」
身を乗り出して外を見ると、青空さんの言う通り一機のヘリコプターが空を旋回していた。
「こっちに来るとかないよね?大丈夫だよね?」
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