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番外編 緊急事態発生!

「あとを追え。決して深追いするなよ」 保護者に紛れて潜入していた若い衆に指示を飛ばす彼。 「犯行予告時間まであと二十分はある。みんな落ち着いて行動しよう」 校庭ではすでに混乱が生じていた。1ヵ所しかない出口に車が殺到し渋滞が起きていた。 「おぃ若井、校内禁煙だぞ!遊んでないで仕事をしろ!市民を守るのが警察の仕事だろうが!無駄話をしている暇があるなら、さっさと保護者の車を誘導しろ!」 痺れを切らした彼。 猫の額ほどのベランダに出ると、身を乗り出して校庭に向かって叫んだ。 マイクがなくても彼の声は遠くまでよく響く。 若井と名指しされた刑事がぎくっとし、肩を震わせた。 咥えていた煙草を離すと、下に落として靴で踏みつけ消していた。 「若井、吸殻を捨てんな!ちゃんと拾って持って帰れ!」 「うるせぇーぞ。俺を誰だと思っているんだ!」 若井という刑事が彼を鬼のような形相で睨み付けた。 さっきお寺の駐車場にいた刑事だ。 「若井さん」 「卯月さんの言う通りだ」 「こら、勝手に撮影するな」 まわりにいた刑事たちが血相を変え、慌てて止めに入った。

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