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番外編 かいとくん

「兄貴、気付いたか?あのアイス売り、婆さんの格好はしているが、男だ」 「龍も気付いたか」 二人は鋭い眼力でアイス屋さんの正体を見抜いた。 「あのアイス屋、いつからここに来るようになったか知っているか?」 「いつってきかれても……ねぇ、めぐみちゃん、ゆうきくん。困っちゃうよね」 「せんしゅうにはいたよ。でも、そのまえのしゅうにはいなかったような」 「かいくんにきいてみたら?」 「かいくんって?」 「ここのおうちの子」 めぐみちゃんが目の前にある大きな家を指差した。敷地内には畑があり、ビニールハウスが建っていた。 「かいくんちには小さなほこらがあるんだよ」 「りゅうおじさん、ほこらっていうのはね、神様をまつるところだよ」 「そのくらい俺でも分かる」 「ほんとにわかってる?」 疑いの目を向けられ、ぎくっとする龍成さん。 「めぐみに一本取られたな」 彼が苦笑いを浮かべた。 キックボードに乗っているのがかいくんだと教えてもらい、龍成さんが声を掛けると、土日以外は来るから毎日アイスを買っているんだ。今日で九本目と得意気な顔で教えてくれた。 「となると先々週の木曜日辺りからうろついているってことか。ありがとうな」 「やっぱり、かなたくんのぱぱ、かっこいい!」 「そうか?照れるじゃねぇか」 龍成さんが首の後ろを撫でた。

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