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番外編 かいとくん

「一太くんのした、あかいよ」 「かなたくんだってあかいよ。めぐみちゃんとゆうきくんはなにいろ?」 舌をぺろっと出すめぐみちゃんと優輝くん。 「あ、みどり色だ」 「メロン味だからね。一太くんの一口食べてもいい?私のあげるから」 「いいよ」 子どもたちが舌を出して見せ合っている姿を、青空さんがスプーンを握り締めたまま、じっと見つめていた。 「青空さん、もしかして何か思い出したの?」 「記憶がいまいち曖昧でよくは覚えてはいない。ただ言えることは俺も子どもたちと同じことをした。ということだ。かき氷を落として泣いていた俺に誰かが声を掛けてくれて、自分のをくれたんだ。青くなった舌をその人と見せ合った。そのうち母親かな?女が来て、その人にありがとうを言うのではなく、その人から慌てて引き離した。女の顔はまるで鬼みたいに怖かった」 「そんなことがあったんだ」 「連れてきてくれた一太に感謝だな。ひとつ、思い出せた」 「うん、良かったね。青空さん、溶けちゃうから、早く食べないと」 「そうだった。残したらお化けが出るんだった」 青空さんがかき氷を食べはじめた。

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