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番外編 かいとくん

「お巡りさんが小学校をちゃんと守ってくれる。だから、心配するな」 子どもたちの不安な気持ちを一掃するかのように、明るく振る舞う彼。 「また、あのヘリか」 シフォンケーキを買いに来ていた男性がぼそっと呟いた。 「また、とはどういうことだ?」 「詳しく話しを聞かせてもらおうか?」 蜂谷さんと森崎さんが店から出ていこうとした男性を止めた。 「ひぃーー!!」 ギクッとし、縮み上がる男性。 顔が恐怖に青ざめ手が震えていた。 「驚かせて悪かった」 彼が男性に声を掛けると、 「も、もしかして、菱沼組の、く、組長さんですか?」 「そうだ。よく知っているな」 「組長さんを知らない人はいません」 素早く瞬きをすると、首の後ろを擦った。 「あのヘリが来るのは三日連続です。この辺りを一周してどこかに飛び去るんです。携帯で調べたら防災ヘリでも県警のヘリでもないんです。ですから、孫たちには危ないから家の中に入るように言ってはいるんですが、なかなか言うことを聞かなくて」 男性がはぁーとため息をついた。

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