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番外編かいとくん

さんずいに竜の滝じゃなくて、旧字体のほうの瀧田、と名乗った男性に、 「O地区の三様か」 蜂谷さんがぼそっと呟いた。 「三様?」 「O地区には昔、三人の大地主がいたんだ。それが瀧田様、相樂様、安齋様だ。瀧田家は道祖神を、相樂家は子安地蔵を、安齋家はおんば様をそれぞれ家の敷地内に祀っている」 「道祖神っていったらあれか?」 「そうアレだ」 話しが全然分からなくて、彼に何って聞いたら、 「未知にはちょっと刺激が強いかもな」 と苦笑いをされてしまった。 「詳しいですね」 「彼は元刑事だ」 「だからか、なるほど」 瀧田さんが納得し、大きく頷いた。 そのとき、彼のスマホが鳴った。 「そうか、見失ったか。キックボードに乗った子どもたちを見掛けたら、連絡を寄越してくれ。頼む」 上着の胸ポケットにしまうと、 「龍、未知と子どもたちを連れて先に帰れ」 「俺も兄貴と一緒に残る」 「駄目だ。奏音を一人にすんな。寂しい想いをいっぱいしてきたんだ。側にいてやれ」 奏音くんが龍成さんの手をそっと握ると、不安そうな目で龍成さんをじっと見つめた。 「龍、未知と子どもたちを頼む」 「分かったよ兄貴」

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