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番外編 3分だけのお願い

部屋に戻ると、繋いだ手を少し引き上げて、指にそっとキスをされた。 「だ、だから……」 「だから、何だ?」 クスリと笑うと驚く僕の腰を引き寄せて今度は口付けをされた。 甘い吐息が唇から零れる。 「俺たちも昼寝をするか?朝からいろいろあって疲れただろう」 「寝ている場合じゃあ」 「果報は寝て待てって言うだろう。子どもたちは起きた順におやつを食べて、宿題だ。陽葵は小さいママに任せておけば大丈夫だ。心配しなくても海翔もそのうち見付かる」 押入れにしまったはずの敷布団がいつの間にか畳の上に敷かれてあった。 「で、でも、遥琉さん」 「ほら、早く。時間がもったいない」 先に布団の上に座ると、腕を引っ張られた。 向かい合うように膝の上にちょこんと座ると、両手で包み込むように、ぎゅっと抱き締められた。 「やっぱりこうしていると落ち着く。お休み未知」 「え?もしかしてこの状態で寝るとか、は、遥琉さん」 「頼む、三分だけでいいから寝させてくれ」 彼が静かに目を閉じた。 ドクンドクンといつもより心臓の音がはやい。彼に聞かれてしまいそうで恥ずかしかった。

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