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番外編 お願いだから起きないでね

「いつ見ても未知は兄貴とラブラブだよな。俺も光希にずっーと愛してもらえるように頑張らないとな。ほら、あーんして」 「一人でも食べれます。それに今、食べなくても……」 「未知の分、甘いものに目がない食いしん坊に食われても知らないぞ」 シフォンケーキを一口分フォークで刺して、唇の前でつんつんとされた。 彼の顔をそぉーと覗き込んだ。 すーすーと気持ち良さそうな寝息を立てていた。 (寝ている……よね?) (お願いだから起きないでね) ドキドキしながら口を開けると、 「素直でよろしい」 口のなかにふわっふわっのシフォンケーキが入ってきた。甘過ぎない。素朴な味。これなら子どもたちも安心して食べれる。 「瀧田さん、ほぼ毎日のように海翔くんに食べてもらいたくてシフォンケーキを買っているみたいなんです」 「育ち盛りだからな」 「それが瀧田さんが作ったご飯には一切手をつけないみたいで、給食くらいしか食べていないみたいなんです」 「それが海翔なりの抵抗なんだろうよ。母親に振り向いてもらいたい。もっと自分を見てもらいたい。愛してもらいたい。だからわざと問題行動ばかり起こしているんだろう。昔の俺みたいに。海翔さえ良かったら、縣家で引き取ってもいいって遼兄が。青空とハチみたいに、奏音と海翔もなかなかいいコンビになるんじゃないかって。でも、それも海翔が生きていれば……の話しだかな」 龍成さんの顔が険しくなった。

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