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番外編 最高の褒め言葉
「ウー、ごめんな。市内の産婦人科から妊婦が救急車で緊急搬送されてきて、すっかり遅くなっちまった。青空、貰い物で悪いが、おめさんにやっぺ。一個三百円もする豆大福だぞ。よく味わって食え」
「ありがとう。ちょうど腹が減っていたところだ」
青空さんがニコニコの笑顔で紙袋を受け取った。
「さっきシフォンケーキをニホールも食べたばかりだよ」
「お腹大丈夫?」
「これは別腹だ」
心配する紗智さんと那和さんをよそに紙袋を開けると、さっそく一つ頬張った。
「斎木先生、その妊婦ってもしかして薬物中毒で流産しかけて緊急搬送された。とかじゃないよな」
「卯月さん、何で分かったんだ?」
「当てずっぽうだ。もしかして当たりか?」
「海翔の母親じゃないか」
「おったまげた。何でおめさんが福島さいんだ?」
龍成さんの登場に腰を抜かすくらい驚いていた。
「今日、授業参観があったんだ。可愛い息子に会いに来て悪いか?」
「いや、悪くねぇ。龍成さん、すっかり父親の顔になったな」
「そうか?」
「嘘ついてどうする。カミさんも息子も同じくらい大好きだって顔に書いてあっぺ」
斎木先生に最高の褒め言葉を言ってもらい、龍成さん嬉しそうだった。
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