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番外編 最高の褒め言葉
夕御飯のあと奏音くんの姿が急に見えなくなり、心配で家の中を探し回っていた龍成さん。仏壇の前に座る奏音くんをようやく見付けることが出来た。
「ここにいたのか。何してんだ?急にいなくなるから心配したんだぞ」
「かいとくんをママがいるせかいにまだ連れていかないでねって、ママにおねがいしていたんだ。かいとくんと仲直りして、一緒に遊ぶんだ」
「そっか」
龍成さんが隣に腰を下ろした。
「それにね、あやみさんとのぞみさんがさみしいって言ってるから、だから、お話しをしていたんだ」
「奏音も見えるのか?」
「うん。だって、ずっとそこにいるよ」
奏音くんが指で指し示したほうを見る龍成さん。
膝のあたりに水を掛けられたような不気味さに、ゾクリと震えた。
「りゅうパパ、もしかしてこわいの?」
「な訳ないだろう。パパ、幽霊なんて全然怖くないぞ」
顔をひきつらせながら、笑顔で答えたものの、
パンッ!バキ!ドンドン!
のこぎりを引くような、ハンマーで何かを叩く音に、目を見開いて、瞬きも出来ない龍成さん。
音や気配、まわりの変化にいちいち敏感になり、あたりをキョロキョロと見回していると、
「りゅうパパ、かなたがいるから大丈夫だよ。こわくないよ」
奏音くんが龍成さんの手の上に自分の手を重ねると、そっと握りしめた。
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