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番外編 たまには夫婦水入らずで
見上げると黒い空に銀紙でも張ったような明るい月が隈なく照らしていた。
海翔くんもこの月をどこかで見ているかな?
今夜はどういう訳か泣いて、ぐずってばかりいる陽葵。
疲れて寝ている彼と、熟睡しているお兄ちゃんとお姉ちゃんたちを起こさないように廊下に出て、立ってあやしていたら、姿を現した龍成さんがびっくりしてわあっと声をあげた。
「誰かと思ったら未知か。頼むから驚かさないでくれ。心臓が止まるかと思った」
龍成さんは泣きじゃくる奏音くんを抱っこしていた。
「ごめんなさい、驚かせてしまって」
「いや、そんなことない。俺がビビりなだけだ」
「みんな一つか二つ、苦手なものがあります。完璧な人間なんていません」
「そうだよな。未知、ありがとう。おかげで元気が出た」
「立ち話はそのくらいにして。奏音くんを早くお風呂に連れていってください」
バスタオルと着替えを両手で抱えた橘さんが姿を現した。
「今行こうと思っていたんだよ」
龍成さんがギクリとすると、慌ててお風呂に向かった。
「未知さん、後ろ」
「後ろ?」
橘さんに言われて振り返ると、彼が立っていたから、心臓が止まるくらい驚いた。
いつからそこにいたの?
気配を全く感じなかったから、全然気付かなかった。
「陽葵は俺が寝かし付ける。未知は寝ろ」
「そういう訳にはいかないよ。遥琉さんだって疲れているのに」
「こんなの疲れたうちに入らないよ。薄着をしていたら風邪をひくぞ」
彼がカーディガンを肩に掛けてくれて。陽葵を抱き上げようとした。
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