2531 / 4014
番外編 幽霊の正体
「漢字表記は遠山鉄将くんです。彼も転校生です。海翔くんの近所に住んでいて、登校班も同じ。親が共働きで一緒に遊ぶようになったそうです。二人とも祖父母と同居ということになっているみたいで放課後クラブには入っていません」
「さすがはままたんだな」
「私は何もしていません。柚原さんが根気強く鉄将くんに話し掛けたからです。昨日何があったの話してくれました。逃げるのが精一杯で、友だちを助けることが出来なくて悔しいと泣いていました」
度会さんから連絡をもらい彼と龍成さんが子どもたちを小学校に送り届けてから、急いで帰ってきた。
幼稚園の送迎バスを見送り家に戻ろうとしたら、脚立を荷台に乗せた軽トラが停まり、庭師の遠山さんが作業着のまま慌てて下りてきた。
「卯月さんの奥様ですよね?孫を見付けてくれたそうで、なんとお礼を言っていいのか分かりません。本当にありがとうございます」
深々と頭を下げられた。
「頭をあげてください。見付けたのは若い衆です。僕はなにもしていません。てっしょうくんが待ってますよ」
「姐さんの言う通りだ」
青空さんが門扉を開けてくれた。
ともだちにシェアしよう!

