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番外編 幽霊の正体

「遠山さん、鉄将に聞きたいことは山のようにあると思うが、今はそっとしておいて欲しい。鉄将が言うには、一昨日の夜、父親に怒鳴られて頭を叩かれたそうだ。自分だけ逃げて海翔を何で置いてきた、また怒鳴られて頭を叩かれるんじゃないか、それが怖くて家に帰れなかったそうだ。さっき警察が来た。また事情を聞かれると思うが、任意だ。鉄将が嫌だって言ったら断っても構わない。これも何かの縁だ。俺で良かったら何でも相談に乗るぞ。一人で抱え込むなよ」 「何から何までありがとうございます。度会さんといい、卯月さんといい、菱沼組の皆さんは優しい人たちばかりで何とお礼を言っていいのか分かりません」 「礼はいい。気にするな。鉄将が待っている。迎えに行ってやれ」 「はい」 遠山さんは何度も頭を下げて、客間へと急いで向かった。 「オヤジ」彼のまわりに若い衆が次から次に集まってきた。 「手がかりはミニカーの12番。白いファミリーカーだ。鉄将が初めて親から買ってもらったミニカーらしい。それと同じ車から下りてきた男たちに連れ去られたと断言した。車のナンバーには、鉄将が好きな番号である六十三が入っている。お前ら、手分けして探せ!海翔を一刻も早く救出するぞ!」 「はい!」 みな一斉に返事をした。

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