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番外編 幽霊の正体
「なぁ渡辺、もしかしたら鉄将は若井を見たんじゃないか?」
「憶測でものは言えないが、その可能性も十分あり得る」
「遠山に対する鉄将のよそよそしい態度がな。妙に引っ掛かるんだ。遠山といい、瀧田といい、何かを隠しているようにしか思えないんだ。なんで親が迎えに来ないんだと聞いたら、急に話しは逸らすし、都合が悪いのかしまいには黙りだ。絶対におかしいだろう」
彼と渡辺さんが遠山さんに視線に向けた。
二人に見られていることにすぐに気付き、ぎくっとする遠山さん。でも、何事もなかったように平静を装い、黙々と作業を続けた。
「平川先生が……、平川先生というのは奏音くんの担任です。知らない人についていっては駄目。知らない人の車に乗っては駄目。いかのおすしはま守らなきゃ駄目だって、いつも話しているでしょう。逃げよう。鉄将くんの忠告に一切耳を貸さなかったみたいですよ」
「……まま……」
鉄将くんの口が微かに動いた。目からは一筋の涙が零れ落ちた。その姿が僕たちのところに来たばかりのころの奏音くんに重なって見えた。
「遥琉さん、もしかして鉄将くんって……」
「そのもしかして、かもな」
彼もぴんときたみたいだった。
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