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番外編 狼少年
「人間だもの。嘘の一つか二つは付く。でもな、付いていい嘘と、悪い嘘がある。友だちを騙して、裏切るなど、絶対にやってはいけない。さぁ~~てと、今度はかくれんぼうをして遊ぼうか。たいくん、ここちゃん、広間に移動するぞ」
二人を抱き上げると、鉄将くんをじろりと睨み付ける鷲崎さん。
「狸寝入りをしているそこの少年。今ならまだ間に合う。兄貴とじいちゃんと刑事さんにごめんなさいってちゃんと謝れ。そして正直に全部話せ」
鷲崎さんは太惺と心望を軽々と抱き上げると、何事もなかったように立ち去った。
「小遣い欲しさに軽い気持ちで手を出したんだろう」
「麻薬の運び屋をさせられているなど知らずにな」
「そんな……」
彼と渡辺さんの会話に言葉を失った。
「子どもは使い捨ての駒だ。代わりはいくらでもいる。かいともてっぺんもまだ引き返せるぞ」
青空さん、てっぺんじゃなくて、鉄将くんだよ。名前、間違ってるよ
「てっぺんじゃない。僕はてっしょうだ!あんたも、あのひとも。みんな、みんな、僕の名前を間違える。だからムカつく!」
がばっと飛び起きると、これでもかと頬っぺを膨らませて青空さんを睨み付けた。
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