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番外編心の叫び

ー昇龍会の組長である千ちゃん……じゃない。千里が責任を持ってきみの母親に会わせると約束する。だから、頼む。友達の居場所を教えてくれー 橘さんが片手でスマホを操作して甲崎さんの声を鉄将くんに聞かせた。 「嘘じゃないよね?」 ー俺らのアイドル、千ちゃんが嘘をつく訳ないだろう。いいか、千ちゃんはな、そこにいる橘の妹であり、一太くんパパの妹でもある。嘘だと思うなら二人に聞いてみろー 「アイドルって……おもしろいおじちゃんだね」 鉄将くんがぷぷっとふき出した。 「僕はおまわりさんにつかまるの?」 「事情を聞かれるだけだ。じいちゃんと一緒に警察に行こう」 「うん分かった」 鉄将くんが大きく頷いた。 渡辺さんに付き添われ鉄将くんと遠山さんは警察へと向かった。 心配で何も手に付かなかった。 「未知さん、光希さんから電話ですよ。未知さんと龍成さんに何回掛けても電話に出ない。何かあったんじゃないかと心配して私の携帯に掛けてきたみたいです」 「あ、そうだ!龍成さんは?」 「小学校からまっすぐ柚さんに会いに行ったみたいですよ」 「海翔くんのお母さんと揉め事を起こしていないかな?」 「そのために信孝さんが龍成さんについていったんです。光希さんを待たせると悪いですよ」 橘さんがスマホを手にそっと握らせてくれた。

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