2547 / 4015
番外編 りょうお兄ちゃんって呼んでもいいですか?
「鉄将は人間不信になっている。父親にいいように利用されてきたんだ。無理もない。大人の言うことは信用できない。誰を信じていいのか分からなくなっているのだろう。海翔の命がかかっている。一刻も早く救出するため、渡辺が千里に電話を掛けて、モニター越しだが、鉄将と話しをさせた」
「鉄将くん、驚いたんじゃないですか?」
「女が組織のトップなんて普通はあり得ないだろう。だから半信半疑だったみたいだ。実際に千里に会ってみて、投げキッスをされて、画面の前でしばらくの間固まっていたそうだ」
鷲崎さんがぷぷっと思い出し笑いをした。
「ママも可愛いけど、千ちゃんも可愛いです。鉄将は真っ赤になってそう答えたらしい。千里は罪な女だ。いたいけな少年の心を鷲掴みにして。未知もそう思うだろ?」
「はい。鉄将くん、千里お姉ちゃんには素敵な旦那様と二人の子どもがいるんだって知ったらどういう反応をするんだろう」
「潔く諦めるか、俄然やる気になるか。どっちだろうな」
鷲崎さんとそんな話しをしていたら、僕を構ってくれないと焼きもちを妬いたみたいで、太惺が唇を尖らせ、ぶーぶーと鳴らしはじめた。
ともだちにシェアしよう!

