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番外編 お兄ちゃんに昇格

「なんだもう帰るのか?」 「槇島を締め上げるまでは帰らねぇよ。おんだすなよ。度会とさしで呑んでくる。卯月、七海を頼んだ」 「おぅ、任せておけ」 彼と入れ違いに鷲崎さんが慌ただしく出掛けていった。 「遼から電話が来たんだが、興奮していて何を言ってるのかさっぱり分からなくてな。未知、遼に何か言ったか?」 「えっと、それは……その……」 彼にまだ言ってなかったことに気付き、青くなった。 「遥琉さんごめんなさい」 こういうときは暴走する前に素直に謝るに限る。ぺこっと頭を下げた。 「どうしたんだ急に」 「遼成さん、自分だけお兄ちゃんって呼んでもらえないから、ごねて大変なんだって光希さんにから言われて、それで……」 「なるほどな。なんで遼があれほど興奮しているのか、その理由がやっと分かったよ。そうか、遼もようやくお兄ちゃんに昇進したか。裕貴も蒼生も遼も未知のことになると、人が変わったようにおっかなくなるからな。怖いんだ。でも一番怖いのは橘だ」 「何か呼びましたか?」 「うわぁ~~本当に出た~~」 橘さんが急に顔を出したものだから、彼が飛び上がるくらい驚いた。橘さんは神出鬼没だ。どこから現れるか分からない。

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