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番外編 こんなに優しくされたの、いつくらいぶりか分からないよ
「七海、太惺と心望を絶対に風呂場に近付けるなよ。収拾がつかなくなる。それと、奏音は?」
「みんなと一緒に宿題をしている」
「そうか」
彼は広間へ向かった。
一太や奏音くんたちに海翔くんが無事に救出されたことを伝えると、良かったね、と手を取り合いみんな大喜びしたのち、安心したのかぼろぼろと泣き出した。
海翔くんにあれほど酷いことを言われたのに、みんな海翔くんのことが心配で気が気じゃなかった。
「みんなが優しい子に育ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
「遥琉さん、僕も同じことを言おうとしていたんだよ」
「そうか。まさに以心伝心だな」
彼がくすりと笑った。
「パパ、かいとくんは?」
「風呂に入ってる。夕ごはん、みんなで食べような」
「うん。たのしみだね」
一太がニコニコと笑うと、奏音くんもニコニコと笑い出した。
海翔くんは体のあちこちに擦り傷があった。結束バンドで手足を拘束されていたみたいで、その痕がくっきりと残っていた。
柚原さんに髪をドライヤーで乾かしてもらい、橘さんに怪我の手当てをしてもらい、
こんなに優しくされたのいつぐらいぶりか分からないよ、と涙ぐんでいた。
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