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番外編 こんなに優しくされたのいつぐらいぶりか分からないよ

「箸の持ち方が違うな。こうだ」 彼が海翔くんにお手本を見せてあげた。 「こうですか?なんかちがうな」 何度も箸を握り直して、悪戦苦闘する海翔くんに、 「はじめから出来る人はいないって一太くんのパパが言ってたよ。ぼくも箸の持ち方を練習しているんだよ」 奏音くんが声を掛けた。 「え?そうなの?かなたくんもいっしょなの?」 「うん、そうだよ」 海翔くんが嫌なことを言ってごめんなさいと謝り、仲直りした二人。 物陰から龍成さんが心配顔で見守っていることにまだ気付いていない。 「海翔の母親が言うには、息子を愛せないんだと。高齢の親の負担になるから、施設に預けるそうだ」 「瀧田さんは?」 「入院中のカミさんに内緒で付き合っていた、彼女が流産しかけて病院に呼び出されて、身動きがとれないそうだ」 血の繋がらない海翔くんの面倒をみる真面目な人というイメージがあったから驚いた。 「母親はああ言ってるが、海翔の祖父母は孫を引き取ってもいいと言ってるそうだ。飯を食ったら渡辺が迎えに来ることになっている。海翔は児童相談所に一時保護されることになった」 「そんな……奏音くんたちとやっと仲直りしたのに……」 「かわいそうだが、俺らにはどうしようも出来ない」 彼が苦しい胸の内を明かしてくれた。

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