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番外編 何があっても味方はここにいる、だから生きて
「抱っこしてください」
「いいですよ」
橘さんが海翔くんの脇の下に手を入れて抱き上げようとしたら、
「焼きもちを妬いているのが二人いるから、俺が抱っこする」
柚原さんが片手で軽々と抱き上げてくれた。大好きなままたんを取られると思ったのか、橘さんの足にしがみつき、ぶすくれて唇を尖らせていたのは太惺でも心望でもなく遥香と幸ちゃんだった。
「たちばなさんはやさしいからみんなの人気者だね」
ぷぷっと海翔くんが笑った。
「やっと笑ってくれたな。海翔には泣いた顔より笑った顔のほうが似合う」
柚原さんは玄関じゃなくて、なぜか庭が見える縁側へと海翔くんを連れていった。
シャーッと吹き出す手持ち花火。
ぱちぱちとはじけた。
「かいとくんもおいで」
「花火しよう」
子どもたちが手招きして海翔くんを呼んだ。龍成さんや鞠家さん。蜂谷さんや青空さんに森崎さんと久弥さん。それに組のみんなが庭に一堂に会していた。
「海翔の晴れの門出だ。派手に見送ろうと思ってな。だから景気づけに花火をしようってことになった。海翔、いつでも帰ってこい。歓迎するぞ」
陽葵を抱っこした彼が海翔くんに声を掛けた。
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