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番外編 行ってきます!

「行ってきます!」 これがさよならじゃない。海翔くんは笑顔で手をぶんぶんと振ると、みんなに見送られ、渡辺さんとともに一時保護所がある市内の施設へと向かった。 「手分けして片付けるぞ。一太たちは明日も学校だから歯を磨いて寝る準備だ。歯を磨いた者からままたんに仕上げ磨きをしてもらえ」 彼がてきぱきと若い衆に指示を飛ばしていた。 「未知、なんでいるんだ?」 「なんでって聞かれても……」 「薄着でうすらかすらするなっていつも言ってるだろう。風邪をひいたらどうすんだ」 彼が慌てて僕に駆け寄ると、着ていた上着を脱いで肩にそっと羽織らせてくれた。 「ありがとう遥琉さん。足手まといになるかなって思ったんだけど、片付けを手伝おうかなって思って」 「その気持ちだけありがたく受け取るよ。いつもありがとうな」 「僕はなにもしてないよ」 首を横に振った。 「カシラ、こんなものが落ちてました」 若い衆が鞠家さんに紙切れを差し出した。 「どこで拾った?」 「バケツの脇です」 「そうか。一太と奏音の字じゃないな」 ポケットから薄手の手袋を取り出し、手に嵌めるとようやく紙切れを受け取った。 「となると海翔か?」 蜂谷さんも手袋を嵌め、鞠家さんの手元を覗き込んだ。すると、ムッとした表情を浮かべた青空さんがつかさず二人の間に無理矢理割り込んだ。

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