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番外編 無敵の鷲崎さんの唯一の弱点は七海さん
「朝から来客がひっきりなしだな。未知、疲れてないか?」
「はい、大丈夫です」
「本当に大丈夫か?」
怪訝そうに鷲崎さんに顔を覗き込まれ、ドキっとした。
「未知、ご飯粒が髪に付いてるぞ」
「嘘………」
「嘘つく訳ないだろう」
「どこですか?」
頭をあちこち触ると、
「そこじゃない。今、取ってやるから」
鷲崎さんの顔が目と鼻の距離にまで近付いて来たから、ドキッとした。
鷲崎さんの手、彼みたく大きくてすごく温かい。
「ほら、取れた。卵のふりかけか?黄色のが付いてる」
「鷲崎さんありがとう。ティッシュを持ってきます」
「いや、いい。未知の匂い付きだ。捨てるなんて勿体ない」
そのままぱくっと食べたからビックリした。
お腹壊さないかな?
今朝のご飯じゃなくて、昨日の夜のご飯かも知れないのに。
「腹は丈夫なほうだ。心配しなくてもいい」
満足そうににこっと微笑んだ。
「あの鷲崎さん、距離がかなり近すぎませんか?七海さんに人妻を口説いていると言い付けますよ」
「は?」
「もしかして聞いてませんでした?もう一度言いますか?」
「いや、言わなくていい。ちゃんと聞こえていたから。橘、頼むから七海に余計なことを言わんでくれ。七海に三くだり半を突き付けられたら俺、一人では生きていけない」
急におろおろしはじめる鷲崎さん。額には汗がふきだしていた。
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