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番外編 おっ、ひさ~~!
「すごいご馳走ですね」
台所を覗くと大皿に二種類のかき揚げやれんこんの挟み揚、それにアジの南蛮漬けと鮭のみぞれ煮がど~んと盛られてあった。
美味しそうな匂いにつられて太惺と心望もひょっこりと顔を出した。
「ふたりともままたんの邪魔になるよ」
「あっちの部屋で遊ぼ」
紗智さんと七海さんがすぐに駆けつけてくれて。二人を抱っこしてくれた。
「あ~~!」
「まき~~!」
テーブルの上に大好きな納豆巻きを見付けると二人は手足をばたつかせてそりゃあもう大騒ぎだった。
「紗智さん、七海さん、二人に先に食べさせてもいいですよ」
「良かったね。ままたんがいいって」
「まきまき、食べようね」
二人が声を掛けると両手をパチパチと叩き、キャキャと歓声をあげた。
その直後だった。
「おっ、ひさ~~」
聞き覚えのある甲高い声が家中に響き渡り、
「嘘だろう」
彼の驚いた声も聞こえてきた。
橘さんも紗智さんも七海さんも思わず言葉をのみ込んでお互いの顔をまじまじと眺めた。そのくらいみんなビックリしていた。
「橘さん、声がそっくりだから、僕、たまにお姉ちゃんとチカちゃんを間違えるんだけど……でも、あの声は……」
動揺して思考がまとまらなかった。
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