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番外編 お兄ちゃんに構ってもらいたいお姉ちゃん
抜き足差し足で橘さんの背後にそぉーと近付くと、両方の手で橘さんの目を隠した。
「だれ~~だ」
「なんの真似ですか?」
「だって会うの久し振りでしょう?お兄ちゃんに構ってもらいの」
「今、どういう状況か分かってますか?」
「えっと……もしかして料理中とか?」
「そうです。見て分かりませんか?」
「分かりません」
「は?」
しれっと答えたお姉ちゃんに、それまで野菜を手際よく切っていた橘さんの手が止まり、眉間にどんどんと皺が寄っていった。
「橘、頼むから、包丁だけは振り回すなよ。子どもたちが真似をしたら危ない」
彼が慌てて追い掛けてきた。
「千里、もしかしてあなたも龍成さんと同じですか?蒼生さんに黙って来たんですか?凪くんと碧人くんは?」
「凪と碧人は光希と遼成、新米パパたちがみててくれるから心配ないわ。ダーリンに言ったら間違いなく反対されるでしょう。だから………」
「反対するのは、当たり前です」
「反対すんのは、当たり前だろ」
「ほんとにお兄ちゃんたちは息ぴったりだね」
お姉ちゃんがクスクスと笑い出した。
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