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番外編 お兄ちゃんに構ってもらいたいお姉ちゃん

「アイス屋の正体は顔のない男だ。一刻も早く海翔を安全な場所に連れ出さないと命が危ない。普段は冷静沈着な大ちゃんが珍しく慌ててたのよ。母親も継父も自分のボーヤである海翔には一切見向きもしない。ここにいても海翔は大人たちの身勝手な言い訳に振り回されて、不幸になるだけ。幸せになれないわ」 「だからといって危険を犯してまでここに来る必要はないだろう」 「だって鉄将に会いたかったんだもの。大きくなったら、僕と結婚してくださいってプロポーズしてきたのよ。いやぁ~~ん、もぅ、アタシって罪な女よね」 「千里、その甲高い声、どうにかなりませんか?頭がキンキンして痛くなるんです」 「そぅ?アタシは大丈夫よ。遥琉お兄ちゃんも未知も大丈夫って言ってるわよ」 「言ってません」 橘さんはやれやれと深いため息をつくと額に手をおいた。 「さすがお兄ちゃん。アタシの食べたいものばっかじゃん。お兄ちゃん大好き!」 「暑苦しいので抱き付かないでください」 「固いこと言わないの。少しくらいいいじゃん」 お姉ちゃんが橘さんにむぎっと抱き付いた。

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