2584 / 4015

番外編 地竜さん、災難に見舞われる

「ママ、たいへん!」 一太がバタバタと駆け込んできた。 「あ、そうだ。その前にただいましなきゃ。ただいまママ、たちばなさん、さっちゃん、ななちゃん、あゆさん、ななちゃん。そらさん。いっぱいいるから息切れちゃった」 照れ笑いを浮かべる一太。 みんなただいま。でも十分伝わるのに、一太も彼と同じで一人ずつ名前を呼んで、挨拶しないと気が済まない。律儀なところは彼にそっくりだ。 「お帰り一太。大変ってどうしたの?」 「ディノンさんいたからびっくりした。かえってくるってぼくぜんぜんきいてないよ。ママはかえってくるってきいてた?」 「ううん。ママも一太と同じでびっくりしたよ」 「あとねママ、ディノンさん、知らない女の人とうわきしてるよ。すごくかみのながい女の人だよ」 「え?」 一太の口からまさかそんな言葉が出るとは思わなくて。驚いた。どこでそんな言葉を覚えてきたんだろう。冷や汗が出た。 「だってディノンさんはママが好きなんでしょう?」 「うん、そうだね」 ぷぷっと紗智さんたちが吹き出した。 「一太、その人ね宋だよ」 「え?ほんとに?」 「地竜にどっきり作戦の真っ最中。一太も協力してくれる?」 「うん。する。かなたくんとめぐみちゃんたちに、ディノンさんうわきしてるから、起きるまでじゃましないんだよって言ってくる」 一太がにこにこの笑顔でまた走り出した。 何か、大変なことになりそうな……気のせいかな?

ともだちにシェアしよう!