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番外編 地竜さん、災難に見舞われる
「ママ、たいへん!」
一太がバタバタと駆け込んできた。
「あ、そうだ。その前にただいましなきゃ。ただいまママ、たちばなさん、さっちゃん、ななちゃん、あゆさん、ななちゃん。そらさん。いっぱいいるから息切れちゃった」
照れ笑いを浮かべる一太。
みんなただいま。でも十分伝わるのに、一太も彼と同じで一人ずつ名前を呼んで、挨拶しないと気が済まない。律儀なところは彼にそっくりだ。
「お帰り一太。大変ってどうしたの?」
「ディノンさんいたからびっくりした。かえってくるってぼくぜんぜんきいてないよ。ママはかえってくるってきいてた?」
「ううん。ママも一太と同じでびっくりしたよ」
「あとねママ、ディノンさん、知らない女の人とうわきしてるよ。すごくかみのながい女の人だよ」
「え?」
一太の口からまさかそんな言葉が出るとは思わなくて。驚いた。どこでそんな言葉を覚えてきたんだろう。冷や汗が出た。
「だってディノンさんはママが好きなんでしょう?」
「うん、そうだね」
ぷぷっと紗智さんたちが吹き出した。
「一太、その人ね宋だよ」
「え?ほんとに?」
「地竜にどっきり作戦の真っ最中。一太も協力してくれる?」
「うん。する。かなたくんとめぐみちゃんたちに、ディノンさんうわきしてるから、起きるまでじゃましないんだよって言ってくる」
一太がにこにこの笑顔でまた走り出した。
何か、大変なことになりそうな……気のせいかな?
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