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番外編 変態は一日でしてならず
「キャァーー!!おにいちゃん、ディノンしゃんとたんしゃんチューしてるよ!」
不意に聞こえてきた遥香の声にどきっとする二人。
「ハルちゃん、こういうときは見て見ぬふりだよ。ぽちゃぽちゃに行こう」
一太が遥香の手を繋いで、そのままお風呂に連れて行ってくれた。
「戸を全開でお前ら何やってんだ。イチャつくなら戸を閉めてやれ」
「言っとくがイチャついていない」
「どの口で言ってんだよ」
「挨拶のキスくらい普通だ。ボスの鼻先や耳朶を甘く噛んで舐める。これが俺ら流の挨拶だ」
覃さんが悪びれる素振りを見せずしれっとして答えた。
これには彼もどう返していいか分からず苦笑いを浮かべた。
「何でこう変態ばっかなんだ」
一人言をぼやくと、
「卯月、いいことを教えてやる。変態は一日でしてならずだ」
「は?」
彼が目をぱちぱちさせた。
「あのな覃、それをいうならローマは一日でしかならず。じゃないのか?」
「日本語分かりません」
「都合が悪くなるといつもそうやってすっとぼけるよな」
「何か言ったか?悪い。聞こえなかった」
覃さんが口角をわずかにあげて、ニヤリと笑った。
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