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番外編 底知れぬ不安
「代わりに俺がボスの子守りをする」
宋さんが顔を出した。
「明日早出だから帰るって言ってなかったか?まだいたのか?」
「忘れ物をしたんだよ。そんな言い方ないだろう。俺の居ぬ間にずいぶんとまぁ覃と楽しそうにしていたって小耳に挟んだんだが」
「そんな訳ないだろう。たいくんの急襲は受けるし、大変だったんだぞ」
「ヘェ~~」
疑いの目で地竜さんを見る宋さん。
「嘘じゃない」
「本当に?」
些細なことでまた喧嘩をはじめた二人。覃さんといい、宋さんといい、本当に仲がいい。
「いいなぁ~~部下にメロメロに愛されて。地竜が羨ましいわ」
「むさくるしいし、暑苦しいだけだ」
「本当に?強がっちゃって」
ふふっとお姉ちゃんが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「今夜もまたずいぶんとまぁ賑やかですね。未知さん、疲れていませんか?」
台所で洗い物をしていたら橘さんに声を掛けられた。
「僕はなにもしてません。あ、そうだ。地竜さんの体、拭いてあげないと。地竜さん、汗をいっぱいかいたから体が痒いって言ってたんです」
「千里も地竜さんも久し振りに会うのでお互いに積もる話があると思います。甘やかしすぎると地竜さんのためになりません。若い衆に任せて、未知さんは先に寝てください」
「でも……」
「間違いなく夜中に遥琉と千里に起こされますよ。寝れるときに寝ておかないと体がいくつあっても足りませんよ」
「わかりました。そうします」
ハンカチで手を拭いて、橘さんにおやすみなさいを言って子どもたちが待つ寝室に急いで向かった。
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