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番外編 彼とお姉ちゃんと地竜さん

「あったけーー。まさに悦楽のひととき」 「夢にまで見た未知が腕のなかにいる。やぁ~~んもぅ、幸せ~~」 「千里、しーだ。未知が起きる。はしゃぐな」 「だって未知がいるのよ。はしゃぐなって言うのがムリ。てかさぁーお兄ちゃんのほうこそはしゃいでいる癖に。妹のこと言えないんと思うんだけどな」 「お~~まえ~~ら~~!」 畳の擦れる音とともに地竜さんの怒った声が聞こえてきた。 「俺だけ仲間外れにするとはいい度胸だな」 地竜さんのドスのきいた低い声。久し振りに聞いたかも。彼と同じくらい男らしくてカッコいい。 ん?ちょっと待ってよ。 地竜さん動けないはずじゃなかったの? 「目を開けるな。そのまま寝てろ」 「力尽きて未知の足元にいるから蹴らないようにね」 くすくすとお姉ちゃんが笑った。 「来るとは思っていたが、まさか本当にここまで這ってくるとは思わなかったぞ。さすがは死神《スーシェン》のボス」 「俺は未知に会いに来たんだ。おもっきり甘えるつもりで来たのに。まさか覃と宋に襲われるとはな。予想外だった」 「おぃ、地竜!足の裏をこちょこちょするな」 「なんだ、卯月の足か。となると未知の足はこっちか」 地竜さんの長い腕が僕の足首にぎゅっとしがみついてきた。

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